MT5のティックボリュームとは?表示方法と実践的な使い方を解説

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  • MT5のティックボリュームってそもそも何?
  • 出来高とどう違うのか分からない
  • 表示方法や使い方がよく分からない

FX初心者の中には、ティックボリュームの意味や使い方に戸惑う方が多くいます。特にMT5では、チャート下に表示される棒グラフの正体が何なのか曖昧なままトレードを続けている方も少なくありません。

本記事では「ティックボリュームとは何か?」という基本から、MT5での表示方法、実践的な活用法までをわかりやすく解説します。出来高との違いも整理しながら、トレードの判断材料としてどのように活かせるかも丁寧にご紹介します。ティックボリュームを正しく理解することで、エントリータイミングの精度がぐっと上がるはずです。

目次

MT5のティックボリュームとは?

ティックボリュームとは何かを示すMT5チャートの見出し画像
MT5のチャート下にティックボリュームを表示し、「ティックボリュームとは?」という見出しを重ねた説明用画像です。

ティックボリューム=価格変動の回数(ティック数)

ティックボリュームは「ティック数」とも呼ばれ、価格がどれだけ細かく変動したかをカウントしたものです。1ティック=価格が1回変動したことを意味し、ティック数が多いほど、その時間帯は売買の動きが多かったと推測されます。ただし「たくさん取引された」わけではなく、値が動いた回数が多かっただけです。

つまり、100回のティックがあっても、実際には小さな数量の売買が何度も行われただけかもしれません。このようにティックボリュームは、取引の活発さやタイミングを読むための指標として便利であり、特に短期トレードにおいては注目されることが多いです。


出来高=実際の約定数量(株や先物では取得可能)

一方、出来高とは実際に成立した売買の数量、つまり「何ロット取引されたか」を表します。株式や先物取引のように中央取引所が存在するマーケットでは、この出来高が正確に集計されるため、誰が見ても同じ数値になります。たとえば、ある銘柄で100万株の売買が成立すれば、出来高は100万株と明確に表示されます。

出来高は、売買の勢い・トレンドの強さを判断するのに非常に重要な要素とされており、トレーダーの判断材料として広く使われています。特に機関投資家の大口注文なども反映されるため、出来高の急増=相場の転換点という見方をする人も多いです。


FXではなぜリアル出来高が取得できないのか?

FX(外国為替証拠金取引)では、株式市場のような「取引所」が存在しないため、正確な出来高(実際の約定数量)を取得することができません。

FXはインターバンク市場と呼ばれる分散型の取引ネットワークで取引されており、各ブローカーや流動性プロバイダーが独自の取引データを持っているため、統一された出来高データは存在しないのです。その代わりに使われるのがティックボリュームで、これは各ブローカーが提示する価格の変動数をカウントして表示しています。

つまり、ティックボリュームは実際の出来高ではありませんが、市場の活発さを測る“代替指標”として広く活用されています。MT5でも同様に、リアルボリュームではなくティック数で分析を行うのが一般的です。

MT5でティックボリュームを表示する方法

ティックボリュームは、MT5の設定を少し変更するだけで簡単にチャート上へ表示できます。PCでもスマホでも表示可能なので、自分の使っている端末に合わせて設定を行いましょう。以下では、PC版とスマートフォン版に分けて詳しく説明します。


PC版(Windows/Mac)の表示方法

MT5でチャートを右クリックしてティックボリュームを表示する手順画面
MT5のチャートを右クリックし、「ティックボリューム」を選択することで棒グラフが表示されます。

MT5のPC版でティックボリュームを表示するには、右クリック→ティックボリューム(K)もしくは、表示したいチャート上で右クリック→「プロパティ」→表示タブから「ティックボリュームを表示」で表示する事ができます。

また、ショートカットキー「Ctrl + L」でもワンタッチで表示のオン・オフを切り替えることができます。


スマホ・タブレットの表示方法

スマートフォンやタブレットのMT5アプリでも、ティックボリュームの表示は可能です。ステップとしてはものすごく簡単です。

iPhone、android、iPadでMT5でティックボリュームを表示する方法は以下の通りです。

チャートをタップ→設定→ティックボリュームをオン

iOSでは「ティックボリューム」と明記されている場合が多く、Androidでは単に「出来高」と表示されていることもあります。

実践的なティックボリュームの使い方


上昇/下降トレンドとの関係性

ティックボリュームは、上昇トレンドや下降トレンドとの関係を読み取る際に役立ちます。たとえば、上昇トレンド中にティックボリュームが増加していれば、多くのトレーダーが買いポジションに注目しており、上昇の勢いが強まっているサインと考えられます。

逆に、トレンド中にティックボリュームが徐々に減少している場合は、勢いが弱まり、トレンドの転換や一時的な停滞の可能性があることを示します。ティックボリュームは価格と組み合わせて見ることで、相場の「熱量」を読み解く重要なヒントになります。


高ティック数で相場転換を察知

ティックボリュームが急激に増えたときは、相場の転換点となる可能性があります。多くの場合、価格が一定のレンジ内で動いていたあとに、急にティック数が跳ね上がると、それまで静かだった市場に新たな動きが加わったことを意味します。このタイミングで大口の注文や重要なニュースが出ることが多く、価格が反転したり、大きく動く可能性が高まります。

特に高値圏や安値圏でティック数が急増した場合は、相場の転換サインと捉えられることもあります。もちろん、単体では判断せず、チャート全体の流れと合わせて確認することが大切です。


他インジケーターと組み合わせた活用例

ティックボリュームは、単体でも使えますが、他のインジケーターと組み合わせることで、さらに精度の高い判断が可能になります。たとえば、RSIやMACDといったオシレーター系のインジケーターと一緒に見ることで、過熱感と勢いの両方を確認できます。RSIが売られすぎ・買われすぎのラインに近づいているときに、ティックボリュームが急増していれば、そのタイミングで反発やブレイクが起きる可能性があります。また、移動平均線(MA)と併用することで、トレンドの持続力もチェックできます。このように複数の指標を掛け合わせることで、より納得感のあるトレード判断ができるようになります。

インジケーター「Volumes」を使う

MT5チャートにVolumesインジケーターでティックボリュームを表示した例
チャート下部に赤と緑の棒グラフで表示されているのがティックボリュームです。MT5のインジケーター「Volumes」を追加することで確認できます。

MT5ではティックボリュームを視覚的にわかりやすく表示するために、インジケーター「Volumes(ボリュームズ)」が用意されています。これはチャート下部に棒グラフ形式でボリュームを表示するインジケーターで、色分けなどのカスタマイズも可能です。

プロパティ設定画面では、上昇ティックと下降ティックの色を変更したり、一部対応銘柄では「リアルボリューム」に切り替えることもできます。ティックボリュームをもっと正確に、そして視覚的に判断したい方にはこのインジケーターの活用がおすすめです。特に短期売買の判断材料として、視覚的な情報があるとエントリー判断がしやすくなります。

設定方法は簡単で、MT5の「挿入」→「ナビゲータ」→「指標」→「ボリューム系」→「Volumes」をチャートにドラッグ&ドロップするだけです。挿入タブからも追加する事ができます。

ティックボリューム設定のカスタマイズと注意点


色の変更、ティック/リアルボリューム切替

MT5では、ティックボリュームの見た目を自分好みにカスタマイズすることができます。たとえば、チャート上の棒グラフの色を変えることで、視認性が向上し、自分にとって見やすいチャート環境が整います。設定はPCの場合、チャート上で右クリック →「プロパティ」→「カラー」タブから変更可能です。

また、一部の銘柄(株式や一部CFDなど)では、リアルボリュームに切り替えることも可能です。インジケーター「Volumes」のプロパティ設定画面で「Real Volume」に切り替えると、ティック数ではなく実際の出来高が表示されるようになります。ただし、FXの通貨ペアでは通常リアルボリュームは使用できず、ティックボリュームのみが利用可能です。


ボリュームが表示されないときの対処法

ティックボリュームを有効にしているはずなのに、チャートに棒グラフが表示されない場合、いくつかの原因が考えられます。まず確認すべきは、チャート上で「ティックボリューム」がオンになっているかどうかです。

ショートカットキー「Ctrl + L」で簡単に切り替えができるため、うっかりオフにしてしまっている可能性があります。次に確認したいのが「チャートのプロパティ」設定。ここでティックボリュームの表示にチェックが入っているかを確認してください。

また、チャート画面とティックボリュームの色が同じの場合、見えなくなる場合があるので確認してみて下さい。

ティックボリュームを使ったデータ分析


Python×MT5でのティック数取得例

MT5では、Pythonを使ってティックボリューム(ティック数)のデータを取得し、自由に分析することができます。MetaTrader 5とPythonは公式に連携が可能で、MT5に内蔵されている「MetaTrader5」モジュールをPythonでインポートするだけで、過去のティックデータやローソク足(OHLC)とともにティックボリュームも取得できます。取得したデータは、PandasやMatplotlibなどのライブラリを使って表やグラフに整形すれば、特定の時間帯や通貨ペアにおける市場の活発さを視覚的に比較することが可能です。たとえば「東京時間のティック数は少なく、ロンドン時間から急増する」といった傾向も可視化できます。裁量トレードの分析だけでなく、EAのロジック検証や勝率向上にもつながる便利な手法です。


検証ツールでの活用方法

ティックボリュームは、裁量トレードやEA戦略の検証にも活用できます。たとえば、MT5に搭載されている「ストラテジーテスター」では、バックテストの際にティックデータを使った詳細なシミュレーションが可能です。特に「毎ティックモード」でテストすれば、過去の価格変動回数(ティック数)を基にしたリアルな値動きを再現できるため、実際の相場環境に近い条件で戦略を検証できます。

また、「FX Blue Trading Simulator」や「Forex Tester」などの外部検証ツールでもティックデータを活用することで、エントリー・エグジットタイミングの最適化が図れます。ティックボリュームの多い時間帯や相場状況を分析すれば、自分の手法がどんな相場で有利に働くかを把握するのにも役立ちます。データに基づく判断ができるようになることで、感覚に頼らない一段上のトレードが目指せます。

MT5ティックボリュームに関するよくある質問(Q&A)

ティックボリュームと出来高はどっちが正確?

FXでは、株式のような中央取引所が存在しないため、正確な「出来高(実際の取引量)」を取得することができません。そのため、MT5では代わりに価格変動の回数をカウントした「ティックボリューム」が使われています。これは実際の売買量ではないものの、市場がどれだけ活発に動いているかを示す目安としては十分に機能します。特に短期トレードでは、出来高の代替指標として広く利用されています。

ティックボリュームが急増したときはどう判断する?

ティックボリュームが急増する場面は、相場に大きな動きが起きる直前や直後によく見られます。たとえば、経済指標の発表や要人発言の直後にティック数が急増するのは、多くのトレーダーが一斉に売買を始めている証拠です。ただし、ティックボリュームの急増=トレンド転換とは限りません。RSIやMACDなどの他のテクニカル指標と組み合わせて、総合的に判断することが重要です。

ティックボリュームを使うべき時間足は?

ティックボリュームの活用に最も適しているのは、1分足や5分足などの短期時間足です。これらはスキャルピングやデイトレードといった短期売買において、相場の勢いや熱量を判断する上で非常に役立ちます。逆に4時間足や日足などの長期足になると、価格変動の回数自体が少なくなり、ティック数に基づく判断が難しくなる傾向があります。基本的には、細かいエントリーや決済タイミングを測るための指標として活用すると効果的です。

ティックボリュームをリアルボリュームに切り替える方法は?

MT5では、一部の銘柄に限り「リアルボリューム(実際の出来高)」の表示が可能です。たとえば、株式CFDやETF、商品先物など、一部の取引所データに基づく銘柄でのみ利用できます。通貨ペア(FX)に関しては、インターバンク市場で取引が行われているため、リアルボリュームは通常非対応です。リアルボリュームが利用できる銘柄では、インジケーター「Volumes」の設定画面で「Real Volume」に切り替えることで確認できます。

まとめ|ティックボリュームを理解して短期トレードの武器に

ティックボリュームは、FXの世界で「見えない取引量」を補うための代替指標です。実際の出来高が取得できないFX市場において、価格変動の回数を示すティックボリュームは、相場の活発さやトレーダーの注目度を測る重要な手がかりとなります。MT5では表示方法も簡単で、PCだけではなく、スマホやタブレットなどでもティックボリュームを表示する事ができます。

また、インジケーター「Volumes」を活用すれば、視覚的にもわかりやすくトレードに取り入れることが可能です。さらに、RSIや移動平均線など他のテクニカル指標と組み合わせることで、エントリーやエグジットの精度も高まります。ティックボリュームを正しく理解し、使いこなせば、短期トレードにおいて大きな武器となるでしょう。

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