- 「MT5で出来高を確認したい」
- 「ティックボリュームとリアルボリュームってどう違うの?」
- 「ボリューム系インジケーターって実際どうやって使うの?」
- 「MT5に標準で入っているボリューム系インジって何種類あるの?」
こんな疑問や悩みを感じたことはありませんか?
MT5(MetaTrader5)には、相場の出来高や取引の勢いを視覚的に捉えるためのボリューム系インジケーターが4種類標準搭載されています。しかし、名称が英語だったり設定がややこしかったりと、初心者にとっては「何をどう見ればいいのか」がわかりにくいのも事実です。
この記事では、MT5に標準搭載されているボリューム系インジケーターの特徴や見方、使い方、表示方法までをわかりやすく解説。実践的な活用法や注意点まで、初心者にもやさしく丁寧にお届けします。
MT5のボリューム系インジケーターとは?

ボリューム系インジケーターは「勢い」を視覚化するツール
ボリューム系インジケーターとは、相場でどれだけ活発に売買が行われているかを視覚的に把握するためのツールです。MT5においては、価格そのものではなく「取引の勢い」や「市場参加者の熱量」を分析するために使われます。
値動きが同じでも、出来高の大小によってそのトレンドの信頼性が変わることもあり、特に短期トレードでは重要な判断材料になります。トレンドの継続・転換を判断する補助としても非常に有効です。
MT5のティックボリュームとボリューム系インジケーターの違いとは?
MT5の初期設定まはた、チャート上を右クリックすると出てくる「ティックボリュームの表示」は、各ローソク足ごとのティック数(価格が変動した回数)を棒グラフで表示する簡易的な出来高表示機能です。これはインジケーターではなく、MT5のチャートに内蔵された補助表示機能であり、価格の変動が多ければ棒が高くなり、変動が少なければ低くなるというシンプルな構造です。
一方、MT5に標準搭載されているボリューム系インジケーターは、インジケーター専用ウィンドウに表示され、より詳細な設定・分析が可能です。また、価格の動きだけでは見えない「市場の勢い」や「取引の活発さ」を視覚的に分析するためのツールであり、パラメーターのカスタマイズも可能なため、戦略的なトレード判断に役立つのが特徴です。

MT5標準搭載のボリューム系インジケーター4種類
MT5標準搭載のボリューム系インジケーター4種類あり、「Accumulation/Distribution」「MFI」「OBV」「Volumes」です。
挿入手順
挿入→インディケータ→ボリューム系
Accumulation/Distribution(蓄積/分配)

項目 | 内容 |
---|---|
名称 | Accumulation/Distribution(A/D) |
特徴 | 価格と出来高の関係から資金流入出を測定 |
主な用途 | トレンドの信頼性確認、ダイバージェンス分析 |
主な使い方 | 価格との逆行をチェックし、転換の兆しを探る |
デフォルト設定 | シンプルなライン表示 |
Accumulation/Distributionは、価格と出来高の動きから市場における「資金の流れ」を分析するインジケーターです。価格が上昇し、かつ出来高が大きければ「買い圧力=蓄積」とみなされ、逆に価格が下がりながら出来高が増えれば「売り圧力=分配」と判断されます。特に注目されるのは、価格とインジケーターの動きが逆行する「ダイバージェンス」が現れたときで、トレンドの終息や転換のサインとして活用されます。
Money Flow Index(MFI)

項目 | 内容 |
---|---|
名称 | Money Flow Index(MFI) |
特徴 | RSIに出来高要素を加えたオシレーター |
主な用途 | 買われすぎ・売られすぎの判断 |
主な使い方 | 20以下→買いシグナル、80以上→売りシグナル |
デフォルト設定 | 期間14、0〜100の範囲で表示 |
Money Flow Index(MFI)は、RSIの構造に出来高の要素を加えたオシレータータイプのインジケーターです。価格の変動だけでなく、どれだけの出来高を伴って変動したかを数値化し、相場の「買われすぎ・売られすぎ」を判断する材料になります。0〜100のスケールで表示され、80以上は買われすぎ、20以下は売られすぎとされ、逆張りトレードでのエントリー判断に役立ちます。オシレーター特有のダイバージェンス分析にも適応可能です。
On Balance Volume(OBV)

項目 | 内容 |
---|---|
名称 | On Balance Volume(OBV) |
特徴 | 価格変動と出来高を累積して視覚化 |
主な用途 | トレンドの強さ・継続性の確認 |
主な使い方 | 価格との連動・乖離をチェックしてトレンド判断に活用 |
デフォルト設定 | シンプルな折れ線グラフ |
On Balance Volume(OBV)は、価格変動と出来高の関係を数値化し、累積して折れ線グラフとして表示するインジケーターです。価格が上昇したときは出来高が加算され、下降したときは減算されるというルールで計算され、トレンドの強弱を把握するために使われます。価格との連動性や乖離を確認することで、トレンドの継続や転換を予測する際に有効です。特に、トレンドフォロー型のトレーダーにとって信頼性の高い分析手法の一つです。
Volumes(ボリューム)

項目 | 内容 |
---|---|
名称 | Volumes(ボリューム) |
特徴 | ティック数またはリアル出来高を棒グラフで表示 |
主な用途 | 相場の活発さを判断 |
主な使い方 | トレンドの勢いや転換点を視覚的に把握 |
デフォルト設定 | ティックボリューム(緑:上昇、赤:下降) |
Volumesは、MT5で最も基本的なボリューム系インジケーターです。各ローソク足ごとにティック数(もしくはリアル出来高)を棒グラフで表示し、相場の活発さを視覚的に判断できます。グラフは上昇時と下降時で色分けされ、トレンドの勢いを見極める補助として使われます。特にトレンドの継続性や転換点を探る際に有効で、初心者でも扱いやすいのが特長です。リアル出来高に対応している口座であれば、実際の取引量ベースでの分析も可能になります。
ボリューム系インジケーターの活用方法・実践テクニック
ティック数の急増・急減によるシグナル活用術(上昇/下降倍率で矢印表示)
ティックボリュームが急激に増加・減少する場面は、相場の転換や一時的な加速が発生しやすいタイミングです。例えば、普段の2〜3倍の出来高が突然出現したとき、それが買い方向であれば上昇圧力の強さを示し、売り方向なら強い下落の前兆と読み取れます。
MT5では、矢印サインを表示するカスタムインジケーターを使って、このような異常なティック数変化に応じたシグナルを視覚的に表示することも可能です。特に短期トレーダーにとっては、動き出しの初動を捉えるきっかけとして非常に有効なテクニックです。
エントリーポイントや反転の見極めに用いる方法
ボリューム系インジケーターは、トレンドの信頼性を見極めたり、反転ポイントを察知したりするのに役立ちます。たとえば、価格が高値を更新しているにもかかわらず、出来高が減少している場合、それは「買いの勢いが弱まっている=反転の兆し」と読むことができます。
逆に、価格が安値圏にある状態でボリュームが急増した場合、底打ちして反転上昇する可能性もあります。VolumesやOBV、A/Dなどを活用することで、こうした「値動きと出来高のズレ」を可視化できるため、エントリーの精度を高めたいトレーダーには必須の分析手法といえます。
他のインジケーター(トレンド系・出来高系)との組み合わせ
ボリューム系インジケーターは、単体で使うよりも他のインジケーターと組み合わせることで、その効果をさらに高めることができます。たとえば、移動平均線やMACDなどのトレンド系インジケーターと併用することで、トレンドの方向性と勢いの両面を確認できます。
トレンドが出ている状態でボリュームが増加していれば、その流れが継続する可能性が高いと判断でき、安心してエントリーできます。逆に、ボリュームが伴わない場合は“だまし”の可能性もあるため注意が必要です。複数インジを重ねて使うことで、より精度の高い相場判断が可能になります。
MT5のボリューム系インジケーターを使う際の注意点

ティックボリュームとリアルボリュームの違いに注意しよう
MT5のボリューム系インジケーターでは、表示される出来高が「ティックボリューム」か「リアルボリューム」かによって、意味合いが大きく変わります。ティックボリュームとは、価格が動いた回数のことで、実際の取引数量ではありません。
一方、リアルボリュームはその名の通り、ブローカーから提供される正確な取引量を反映しています。ただし、リアルボリュームに対応しているのは一部のブローカーや特定の口座タイプのみで、FX口座の多くはティックボリュームしか使えません。自分の取引環境がどちらに対応しているかを確認せずに分析すると、誤った判断につながる恐れがあるため、まずはボリュームの種類を理解することが重要です。
ボリュームが少ない時間帯は誤認識に注意
相場の時間帯によっては、表示されるボリュームが極端に少なくなることがあります。たとえば、日本時間の早朝(NY市場が終わってからロンドン市場が始まるまで)や、週末直前、祝日などは取引が非常に少なくなり、ボリューム系インジケーターの値も不安定になります。
そうした時間帯に表示されるボリュームの急増や減少を鵜呑みにすると、「だまし」のシグナルに引っかかるリスクが高まります。特に短期トレードでは、流動性がない時間帯に反応してしまうと不利なエントリーになりかねません。分析の信頼性を高めるためにも、ボリュームを見る際は、時間帯ごとの市場の活発さを意識することが大切です。
ボリュームだけに依存しすぎないことが大切
ボリューム系インジケーターは非常に有用なツールですが、これだけを根拠にエントリーやエグジットを判断するのは危険です。例えば、出来高が急増したからといって必ずしもトレンドが続くわけではありませんし、逆に急減したからといってすぐに反転するとも限りません。
あくまでボリュームは「補助的な情報」であり、価格アクションやトレンド系・オシレーター系インジケーターと組み合わせて使うことで、総合的な判断が可能になります。ボリュームの動きだけに依存してしまうと、相場のノイズに惑わされやすくなり、安定したトレードが難しくなるため注意が必要です。
表示されない・ゼロになる場合の原因と対処法
MT5でボリューム系インジケーターを表示したときに、グラフが出なかったり、すべてゼロで表示されたりすることがあります。この原因の多くは、使用している口座やブローカーの仕様にあります。
たとえば、リアルボリュームを選択しているのに、ブローカーがそれに対応していない場合、表示はゼロになります。また、一部の銘柄や時間足ではボリューム情報が提供されていないこともあります。まずは「ティックボリューム」に設定を切り替えて確認してみましょう。それでも表示されない場合は、別の口座やブローカーを検討するのも一つの方法です。焦らずに一つずつ設定や仕様を見直すことが大切です。
MT5ボリューム系インジケーターに関するよくある質問(FAQ)
スマホ版MT5でもボリューム系インジケーターは使えますか?
はい、スマホ版MT5(iPhone/Android)でもPC版と同様に、ボリューム系インジケーターを利用することができます。標準で搭載されている「Volumes」「Accumulation/Distribution」「Money Flow Index(MFI)」「On Balance Volume(OBV)」の4種類すべてが使用可能です。スマホでも簡単に追加・表示ができるため、外出先での分析にも便利です。もちろんiPadでも同じです。
ボリューム系インジケーターはFX以外でも使えますか?
はい、使えます。MT5はFXだけでなく、株式、先物、暗号資産(仮想通貨)、指数CFDなど幅広い金融商品に対応しています。特に株式や先物は実際の取引数量(リアルボリューム)が提供されることが多いため、ボリューム系インジケーターの精度もより高くなります。商品の特性に応じて、ボリューム分析を活用するのがおすすめです。
どのボリューム系インジケーターを最初に使うのがおすすめ?
初心者には、まず「Volumes」インジケーターの使用をおすすめします。シンプルな棒グラフで、価格変動の勢いを直感的に把握できるため、最も取り入れやすいツールです。慣れてきたら「MFI」で逆張り判断をしたり、「OBV」や「A/D」でトレンドの裏付けを確認するなど、他のインジケーターも組み合わせて使っていくのが理想です。
まとめ
MT5に標準搭載されているボリューム系インジケーターは、「Volumes」「Accumulation/Distribution」「MFI」「OBV」の4種類です。それぞれ異なる視点から相場の出来高や勢いを可視化でき、価格の動きだけでは読み取れない「市場の熱量」や「トレンドの信頼性」を判断する材料として活用できます。
初心者にはシンプルな「Volumes」からの使用がおすすめで、慣れてきたらMFIで逆張り判断をしたり、OBVで価格との乖離を探ったりと、目的に応じて使い分けると良いでしょう。
ただし、ボリューム系インジケーターはあくまで補助的な情報です。他のインジケーターやプライスアクションと併用しながら、総合的な判断を行うことがトレードの精度向上につながります。ティック数とリアルボリュームの違いや、時間帯による出来高の偏りなどにも注意しつつ、自分のスタイルに合った分析手法として取り入れていきましょう。
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